東京vs神奈川vs埼玉vs千葉、子育て世代の住まいコストを全部計算してみた

「郊外に引っ越せば家賃が安くなる」——そう思って住む場所を決めようとしていませんか?

私も家づくりを検討していたとき、真剣にそう考えていました。でも実際に計算してみたら、住居費だけで比較すると大きな間違いをすることがわかりました。

通勤定期代、車の維持費、子育て支援の差額——これを全部足し合わせると、「東京23区外」が意外とトータルコスト最良ゾーンになるケースが多いんです。

この記事でわかること:

  • 一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の住居費・通勤・車・子育て支援をトータルで比較
  • 「住居費が安い=お得」ではない理由
  • 子育て世代が一番コストを抑えられるエリアはどこか

私自身、町田市(東京都)で注文住宅を建築中です。新築マンション・中古マンション+リノベ・神奈川への引越しも本気で検討した上で、最終的にこの結論に至りました。同じように迷っている方の参考になれば。


一都三県トータルコスト比較表(子育て世代・共働き世帯モデル)

まず結論から。以下は「都心通勤・子ども2人・共働き」を想定したモデルケースです。

東京都市部の住宅街
比較項目 東京23区内 東京23区外 神奈川・埼玉・千葉(郊外)
住居費(月) 13〜18万円 9〜13万円 7〜10万円
通勤定期代(月) 〜5,000円 5,000〜10,000円 15,000〜25,000円
車の維持費(年) 不要〜30万円 不要〜30万円 40〜70万円(ほぼ必須)
子育て支援(18歳まで) 東京都の手厚い支援が使える 東京都より100〜200万円少ない
トータル評価 住居費が高い ✅ バランス最良 住居費は安いが他で相殺

※住居費は各不動産ポータルサイト(SUUMO・HOME’S等)の公開相場データをもとにした目安。通勤定期は主要路線の実際の定期代を参考に算出。

「郊外の方が月6万安い」と思っていたのに、通勤定期・車・子育て支援の差を合計すると、年間で数十万〜100万円単位の差が逆転することがあります。以下で順番に説明します。


① 住居費の差:郊外は本当に安いのか

住宅の鍵と家

住居費(家賃または住宅ローン返済額)は確かに郊外の方が安くなります。一般的な相場感は以下のとおりです。

  • 東京23区内:3LDKで月13〜18万円程度
  • 東京23区外(多摩・町田・八王子など):月9〜13万円程度
  • 神奈川・埼玉・千葉の郊外:月7〜10万円程度

一見すると、郊外に出るだけで月3〜5万円(年間36〜60万円)の節約になりそうです。

ただし、この差額だけで判断すると大きな落とし穴があります。

② 通勤コストの差:定期代は意外と大きい

都心の職場に通う場合、郊外に住むほど通勤定期代が増えます。

エリア例 主要駅から都心まで 定期代(月) 年間換算
東京23区内 10〜20分 3,000〜6,000円 3.6〜7.2万円
東京23区外(例:町田・立川) 30〜50分 8,000〜12,000円 9.6〜14.4万円
神奈川・埼玉・千葉郊外 50〜70分 15,000〜25,000円 18〜30万円

郊外に引っ越して住居費が月5万円下がっても、通勤定期が月1.5万円増えたら年18万円の出費増。この時点で住居費の節約効果は年間60万円→42万円に圧縮されます。

③ 車の必要性とコスト:郊外では「ほぼ必須」になる

電車と通勤

これが一番見落とされやすいコストです。

東京23区内・区外の多くのエリアは電車網が充実しており、車なしでも生活できます。しかし神奈川・埼玉・千葉の郊外エリアになると、買い物・送迎・通院などで車がほぼ必須になるケースが多い。

車1台の年間維持費の目安:

  • 駐車場代:月1〜2万円(年12〜24万円)
  • 自動車保険:年4〜8万円
  • ガソリン代:年6〜12万円
  • 車検・税金・消耗品:年8〜15万円
  • 合計:年40〜60万円以上

これを加えると、「郊外の方が住居費が安い」という計算はほぼ消えてしまいます。

「マイホームの教科書」では車の維持コストを含めた住居費試算の重要性が指摘されています。「車1台保有するだけで生涯2,000〜3,000万円のコストがかかる」とも言われており、住む場所と車の保有有無はセットで考える必要があります。

参考:国土交通省 住宅市場動向調査

④ 子育て支援の差:子ども1人の18年間で最大451万円の差

子育て家族

住居費・通勤・車コストとは別に、子育て支援の差も見落とせません。東京都は全国でも特に子育て支援が手厚く、2026年現在で以下のような制度があります。

東京都の主な子育て支援

  • 保育園(0〜5歳)の完全無償化:3〜5歳は全国共通で無償。さらに東京都は2025年9月から0〜2歳の第1子も無償化(認可保育所は全額、認可外は月4.2万円上限)。神奈川・埼玉・千葉では0〜2歳は原則有料で、月最大8.3万円かかるケースも
  • 給食費の無償化:都内公立小中学校の給食費が無償。神奈川・埼玉・千葉では小中9年間で計約54万円の負担が生じる自治体が多い
  • 子ども1人につき月5,000円の現金給付(「018サポート」):0〜18歳まで。18年間で1人108万円
  • 私立高校授業料の実質無償化:2026年から所得制限が撤廃され、実質タダに
  • 子ども医療費の無償化:18歳まで医療費無料

これらを子ども1人・18歳まで累計すると、東京都と神奈川県では最大451万円の差になるという試算があります(保育料298万円+給食費54万円+018サポート100万円)。

支援項目 東京都 神奈川・埼玉・千葉(代表的な市)
保育料(0〜2歳) 無償(2025年9月〜) 有料・月最大8.3万円(年間最大約100万円)
保育料(3〜5歳) 全国共通で無償(幼保無償化)
給食費(小中学校) 無償 有料(小中9年間で計約54万円)
現金給付 018サポート 月5,000円/人(18年間で108万円) なし〜独自少額給付
私立高校授業料 実質無償(2026年〜) 段階的支援(上限あり)
子ども医療費 18歳まで無料 15歳まで(自治体によって差あり)
子ども1人・18歳まで累計差額 東京都より最大約451万円多く負担

東京都の保育料無償化(0〜2歳)は2025年9月から適用。認可保育所は全額無償、認可外は月4.2万円上限で補助されます。3〜5歳の無償化は全国共通(幼保無償化)のため、0〜2歳の部分が東京都の大きな差別化ポイントです。

出典:
東京都福祉局「保育料等の無償化について」
こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」
東京都「018サポート」


トータルコストシミュレーション

ここまでの内容を「共働き・子ども2人・都心通勤」のモデルケースで試算してみます。

① 年間ランニングコスト比較

コスト項目(年間) 東京23区内 東京23区外
(例:町田・府中)
郊外
(神奈川・埼玉・千葉)
住居費 156〜216万円 120〜156万円 84〜120万円
通勤定期(2人分) 7〜14万円 19〜29万円 36〜60万円
車維持費 0〜20万円 0〜30万円 40〜60万円
018サポート(子2人分) ▲12万円/年 ▲12万円/年 ▲0〜2万円/年
年間合計(概算) 151〜238万円 127〜203万円 160〜238万円

住居費は23区内が最も高いものの、通勤・車コストを合算すると郊外と年間コストはほぼ同水準になるケースがあります。一方で23区外は住居費・通勤・車のバランスがよく、年間コストで最も有利になりやすいエリアです。

② 子育て費用の累計差額(子ども1人・18年間)

年間コストに加え、子育て支援の累計差額も大きな要素です。23区内・23区外はともに東京都の支援が適用されるため、郊外との差が生まれます。

支援項目 東京都
(23区内・23区外 共通)
郊外
(神奈川・埼玉・千葉)
差額
保育料(0〜2歳・3年間) 0円 最大約298万円 最大▲298万円
給食費(小中9年間) 0円 約54万円 ▲54万円
018サポート(18年間) 108万円の給付 0〜少額 +108万円
累計差額(子ども1人) 東京都の方が最大約451万円お得 最大451万円

※保育料の差額は神奈川県川崎市の最大値との比較。自治体・収入・利用施設によって異なります。
出典:「多摩川を超えただけで100万円の差」(ファイナンシャルフィールド)

年間ランニングコストだけでも東京23区外が有利になるケースが多い上に、子どもの18年間累計では最大451万円もの差が生まれます。「住居費が少し安い」という理由だけで郊外を選ぶと、トータルで大きく損するリスクがあります。

もちろんエリアや個別の条件によって変わりますが、「郊外=安い」という思い込みは危険です。

こんな人はどこがおすすめ?

東京23区外がおすすめな人

  • 都心に通勤している(または今後もしそうな)共働き世帯
  • 子どもがいる、または予定がある
  • 車なし生活を維持したい
  • 注文住宅や戸建てを検討している

郊外(神奈川・埼玉・千葉)がおすすめな人

  • 都心への通勤がない、またはリモートワークがメイン
  • 広い土地・庭を優先したい
  • 車文化が好きで維持費を苦に思わない
  • 住居費の絶対額を下げたい(ローン審査上の事情など)

まとめ:住む場所はトータルで計算しよう

  • 住居費だけで比較すると郊外が安く見えるが、通勤・車・子育て支援を合算すると東京23区外の方が有利なケースが多い
  • 車1台で年間40〜60万円、通勤定期の差で年間18〜30万円——これが住居費の節約分を大きく食う
  • 東京都は2025年9月から0〜2歳の保育料も無償化。郊外では3年間で最大298万円の保育料負担が生じるケースも(東京都福祉局
  • 保育料・給食費・018サポートを合計すると、子ども1人・18年間で東京都と神奈川では最大451万円の差(こども家庭庁東京都018サポートをもとに試算)
  • 「どこに住むか」はライフスタイルによるが、数字で計算すると見え方が大きく変わる

私自身、この計算をして東京都(町田市)での注文住宅建築を決めました。同じように迷っている方の参考になれば嬉しいです。

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